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京葉線異例の9月ダイヤ改正へ【2024年7月号1面】

2024-07-04
カテゴリ:街角ニュース,行政,地域課題
重要
今春改正での厳しい声を踏まえて
JR東日本千葉支社は9月1日に京葉線、内房線、外房線のダイヤを一部変更すると発表した。朝・夕時間帯に内房線、外房線に直通する各駅停車4本を快速に変更、また京葉線内のみの一部各駅停車も快速に変更し、平日で7本、土休日で12本の快速が増えることになる。この時期の再度の改正は異例。京葉線のダイヤ改正をめぐっては通勤快速の廃止、快速の削減により利用者を始め千葉市など沿線自治体から不満や懸念の声が上がっていた。しかしこの改正を評価する声がある一方で通過電車が増える新習志野駅を抱える習志野市長が反発するなど依然として波乱含みの様相を呈している。
 
まさに異例の再ダイヤ改正だ。3月16日に実施したダイヤ改正において通勤快速の廃止、快速の通勤時間帯の削減を発表、その反響は大きくすぐに熊谷県知事、神谷千葉市長らが不満の声をあげ、周辺自治体の首長も同調した。あまりの反響にJR東日本は一部改正内容を変更、快速を部分的に残すような改正を実施した。しかしそれも利用者が満足いくようなものではなく、JRに対する失望の声も多く寄せられていた。そこで千葉市は今春のダイヤ改定について千葉商工会議所などと共同で利用者に対しウェブアンケートを行い、市内外からの1万4849件もの回答を得た。この問題に関する市民の関心の高さを物語っている。その結果回答者の約95%が千葉県内在住、利用者の主な最寄駅は蘇我駅が11・4%と最も多く、次いで海浜幕張駅が11%鎌取駅7・4%、稲毛海岸駅6・8%、検見川浜駅6・5%、千葉みなと駅2・9%などとなっている。やはり通勤快速の廃止で最も困惑している蘇我駅利用者が声を上げているのだろう。またダイヤ改正が京葉線沿線地域全体に与える影響を尋ねた質問には「とても悪い」との回答が65・4%に上り「やや悪い」の16・1%と合わせると「悪い」が81・5%に達した。「乗る電車の変更(早める・遅らせる)」が59・2%、「京葉線の利用停止(別路線に変更)」25・5%のほか、「京葉線沿線以外への転居」を実施または検討していると答えた人も9・8%に及んだ。「家を出る時間が30分早まった。通勤に2時間は通勤圏内とは呼べず引っ越しを決めた」や「徒歩で稲毛海岸駅をバスで稲毛駅に変更し定期券を購入した」などおおむね否定的な意見が多い。また利用者の希望としては「通勤・退勤時間帯の快速の増便」が74・7%と最も多く、「通勤快速の復活」が56・9%で続いた。一方で「通勤快速の通過待ちがなくなり良かった」、「混雑具合が緩和されたような気がする」とダイヤ改正を評価する声があるのも事実のようだ。
 まさかの再改正
 
あまりの否定的な声の多さにJRが動いた。9月1日に快速の復活を含め再度のダイヤ改正が行われることになった。これは極めて異例なことと言える。通常年に1回、春に行われるダイヤ改正を、利用者の声に応える形で半年での再改正、さらに京葉線だけという前例のないものとなった。

この対応には熊谷知事も一定の評価をしているようだ。昨年稲毛海岸駅から徒歩で5分の新築マンションを購入したSさんは「職場の最寄り駅は東京駅ですが、以前は京葉線を利用していましたが、今は稲毛駅までバスで行き、総武線を利用しています。各停しかない京葉線では時間もかかるし、その各停もなんだか以前より混んでいるような気もしますね」と不満げに語っていたが、今回の再改正の話には「また京葉線に戻すか考えるが、最初からこうすればいいのに…と思います」とやはり納得いかない様子だ。また同じく八丁堀駅まで通うMさんは「ダイヤ改正のあとは毎日各駅停車で40分以上、総武線、地下鉄の利用も考えましたがやはり家が稲毛海岸駅の目の前なので京葉線を利用するしかないんです。だから快速が復活するダイヤ改正は嬉しいですね」と利用者の声も様々。神谷市長は「市がJR東日本へ要望してきたことが利用者の求めている内容であったとわかる結果だ。引き続き協議を進めていく」とコメントしている。

しかし前向きな評価ばかりでもないようだ。ある利用者は「これは柔軟な対応とは言えないし、JRは評価を得たいのかもしれないが、利用者は振り回されているだけと言うに事に気づいてほしい」と厳しい声も。東京駅から各駅停車で30分強、快速が停車しない新習志野駅がある習志野市の宮本泰介市長は「各駅停車が1日最大12本減便される」として猛反発している。しかし9月に再度のダイヤ改正は行われる。熊谷知事も「すべての人が納得することはない」とコメントしているが、悪しき前例を作った今回の改正、その次の改正時にこの失敗を生かせるのか見極めたい。
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